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《PASS便り》 2021年8月号

PASSグループの進捗情報などを、
 【近況】
 【今後の予定】
 【おまけコーナー】
の3本立てでお届け。
 毎月15日発行。


──────────


【近況】

〇PASSグループ
ゆるりと活動中。
特別なお知らせなどは、ありません。


【今後の予定】

〇 Project-Pandora
次回生放送を8/29(日)20:00を予定しておりましたが、緊急事態宣言延長に伴い9月以降の放送となりました。詳細が決まり次第、Twitterなどで告知致します。
@Atp_Pandora


【おまけコーナー】

《パスシス物語》
 PASS:2 次女・セイ子/マイベスト・フィルム


 セイ子16歳!
 趣味はサイクリングと写真撮影、特技は生クリームの泡立て!
 きっとたぶんおそらくどこにでもいる感じの女子高生!
 

「おい、よそ見してんじゃねーよ、危ないだろう」

 こいつは隣の家に住んでる幼馴染。
 まるですぐ下の妹みたいに、いっつもあーでもないこうでもないって小言が多くてまいっちゃう。
 まあ、なんだかんだで頼りになるところもあるし、悪いヤツじゃないんだけどね?


「お、今日も一緒に登校とはお熱いな」
「べ、べつにそんなんじゃねーし」
「へぇー、じゃぁオレが立候補しちゃおうかな? セイ子のこと嫌いじゃない…いや、むしろ好き、だし」
「なっ!?」

 校門でばったり出会ったのは、この前ちょっとした事件で仲良くなった学校の先輩。
 アルバイトでモデル? タレント? をやってるとかで、うちのクラスでもけっこー人気。
 冗談でも軽く『好き』とかいっちゃうから勘違いしちゃう子も出るんじゃないかなぁ。


「あ、あの、セイ子先輩、今日は部活に―」
「ざんねん、少年! 今日のセイ子はバイトの日なのだよ!」

 教室に向かう途中で話しかけてきたのは、名前だけでもといわれて入っている部活に所属する後輩の男の子。
 そして間に入ってきたのは、私の親友のトモ子。


「もうすぐ鐘がなるぞ、さっさと教室に入れガキども」

 この口が悪い先生は、私のクラスの担任。
 昔っから私のことを「チビチビ」いっていじめてくるから、苦手なんだけど…
 ただ、私と先生はみんなには内緒で、ラインを交換してる仲だったりする。

 といっても別に怪しい関係とかではなくて…

『今日のバイト忘れんなよ?』

 噂をすれば先生からのメッセージ。
 スタンプを送って『覚えてますー』と送れば、あっという間に授業も終わって放課後へ。

「おいセイ子!」
「セイ子ちゃん!」
「セイ子先輩!」

 なんだか出発前に呼ばれた気もするけど、自転車をこいで急いでバイト先へと向かう。

 着いたのは、とある商店街に佇む、一軒の写真屋さん。
 自転車を止めて店内に。
 そして奥へと向かうと、そこには家族写真を撮ったりするようなちょっとしたスペース…スタジオがある。

「おぉ、きてくれてありがとうね。今日もお手伝いよろしくね」

 スタジオでカメラのセットをしていたのは、この写真屋のオーナーでカメラマンのおじいちゃん。
 担任の先生のお爺さんで、私に『写真』の面白さを教えてくれた人―お師匠さんである。
 そういうと恥ずかしがっちゃうから師匠には言わないんだけどね?

「ご、ごごめんくださ…ぃ」

 師匠と一緒に準備をしていると、やがてお客さんがやってきた。
 今日のお客さんは、今時珍しい(?)お見合い用の写真をとりにきたお姉さん。

「す、すみませんこんなお時間に。どうしても仕事終わりじゃないと時間がとれなくて」
「いえいえ、おきにせず。さ、お荷物はそこに…お着換えが済んだら撮影しましょうね」

 やがてお化粧直しを済ませたお姉さんがカメラの前に…でも私の目から見ても大丈夫かなってぐらい緊張しちゃってて、顔がもうカッチコッチ。
 これじゃぁいい写真はとれない…なんて思うところだけど、ここからが師匠のすごいとこ。

「お見合いねえ、懐かしいねぇ、ボクの若い時なんだけどさぁ」

 師匠の話をきいてるうちに、どんどんほぐれていくお姉さん。
 それがウソか本当かはわからないけど、失敗を笑い話にして、成功をお姉さんの希望に変えて、
 そしていつのまにか師匠が除くファインダーの中には、自然な笑顔を浮かべるお姉さんがいて―

「それ、もらっちゃいましょう」

 パシャリ。
 今日一番の一枚を師匠が見逃すはずもなく…

「ありがとうございました」

 後日お高めの装丁にいれられたお姉さんの笑顔は、見事お見合い相手の興味を引いてお付き合いがスタートするというのはまた別の話。

「おつかれさま、セイ子ちゃん。はい、今日もお手伝いありがとうね」

 そして、他のバイトに比べれば時給としてはお安い、だけど代えがたいお給料をもらって、

「もう暗いし送ってこうか、チビ?」

 いつの間にか帰宅していた先生にあっかんべーを返して家へと帰る。

 朝青かった空はスタジオに来る頃には赤くなっていて、そして今はもう黒い。
 夕飯はもうみんな済ませているころかな?
 ならばと、閉店間際でお安くなっていたケーキ屋さんで、いつもよりちょっとお高めのケーキを買って家に着く。

「あら、おかえりなさい。ご飯食べるでしょ? 用意するわね」
「姉さん手伝うよって…ん、なにそれセイ姉…お土産?」
「わぁぁ!! ケーキだ! ケーキだ! ケーキだ!」

 案の定ケーキはみんなに、特に一番下の妹が大はしゃぎするぐらいに喜ばれて、
 私がご飯、みんながケーキを囲む食卓には自然と笑顔が現れた。

 私はその狙っていた瞬間にあわせて自分のカメラを―

 パシャリ。

「「「んん?」」」

 師匠のように最高の瞬間を切り取ることはできなかったけど、

 幼馴染といった湖とか、
 先輩が教えてくれたビルの屋上とか、
 後輩がネコと一緒に昼寝している姿とか、
 親友とのツーショットとか、

 今まで私なりに集めてきたベストショットの中に、
 鼻の頭に生クリームをチョコンと載せた妹と家族との写真が増えたのでした。


「「「おやすみ」」」

 うん、おやすみ。

「次はどんな1枚が増えるかな!」

 
 次の一枚を楽しみに、明日も家を飛び出していく、4姉妹次女セイ子、なのでした。


──────────


あなたに“ぴったり”の記事はありましたでしょうか。
次号も、お楽しみに。

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